idstr.jp open share

ID-14

sobajima can
guchon

側島製罐 ×
Guchon

sobajima can

一枚の巨大な鉄の板が裁断される。ラインを静かに流れ、徐々に缶へと組み立てられていく。スリッターで切断される音。プレス機で抜かれる音。かしめという手法で接合される音。シーマーで巻き締めされる音。ビートに絡みつつ響く金属音。老舗の工場に響くさまざまな缶の音、そのひとつひとつの個性を音のマジシャン、Guchonが加工し、独自のファンキーなテックトラックが完成した。

buy
  • スリッターと呼ばれる裁断機で、材料の鉄板を胴・蓋・底の3つに切り分ける工程。機械に材料をセットし寸法を調べ、機械の幅を手動で切り幅に合わせて調整。0.01mm単位で調整する緻密な作業が必要になる。

  • 組み立てラインに送られた素材は、金属の器具で下から押しつけられることで、接合され缶の胴になる。接着剤を使用せず、素材を折り曲げるだけで金属同士をつなぐことができる。

  • 四角い缶の製造では、缶の胴部分と底を密着させるための「巻締め」と呼ばれる工程。缶の胴に底を乗せ、缶の周囲を「シーマー」と呼ばれる回転式の圧力機でプレッシャーをかけることで胴と底の材料の端の部分が巻き込まれ合って固定される。

  • 筒状の缶も同様の工程で缶の胴部と底部を接合する。筒状の缶は角がないため、缶自体を回転させて外側一か所からの圧力で巻締めが完成する。高速回転するため、緻密なセッティングが必要になる。

  • 蓋の部分は「絞り抜き」という手法で一枚の平らな板から継ぎ目なしで立体的な形に成型。材料や印刷の種類によっても伸びが変わってくることもある。絞っていく段階でばらつきが出ないよう、自動機を設定する。工場には、25〜80トンの圧力のプレス機が20機以上並ぶ。

  • 底と胴の部分の接着が終わると缶の本体は完成。この部品に蓋をかぶせて梱包することで缶が出荷される状態となる。缶の製造では1時間あたり600~1200缶ほどが製造される。

FACTORY

sobajima can

側島製罐株式会社

1906年創業の缶メーカー。祖業では蚕具を製造していたが、その技術力を生かして戦前から製缶事業も開始。1942年に法人化してからは缶づくり一筋で事業を営んでいる。主に焼菓子、海苔、あられ、薬、カーワックス、蚊取り線香など、包装容器としての缶を製造しており、丸、四角、変形、大小など幅広い缶の製造設備を備えている。最近では受注生産だけではなく短納期小ロットでの自社製品も展開しており、カラフルな缶が側島製罐の看板商品となっている。

ARTIST

track maker

Guchon

東京拠点のDJ/プロデューサー。<Sabacan Records>を主宰し、ユニット、国士無双としても活動。ドイツ<Chiwax>からリリースされた「Pistachio Party EP」や、イギリス<Hot Haus Recs>からリリースされた「Super Deluxe」をはじめ、世界10か国のレーベルから多彩な作品を発表している。アメリカ<Maximum Airtime>からの「Piano Bros EP」はResident Advisorでレビューされ、イギリス<fabric>からもリリース。Carpainterとの共作「Tokyo Funk」(System Records)や、ラッパーONJUICYとのコラボ「You Know What」(Trekkie Trax)では、ジャンルを超え、新たな地平を開拓している。近作は、Catz’n Dogz主宰、ポーランド<STEP Recording>からの「Bouncy Fox EP」。Apple Music、Rinse FMなどにMIXを提供。ファンキーかつ独自性に溢れるDJとして世界的に人気を博している。

web

STAFF

who made this

Naoya Tokunou

得能直也 / 楽曲マスタリング

1979年北海道網走市生まれ。1999年に世田谷ハートビートレコーディングスタジオでエンジニアとしてのキャリアをスタート。2009年にフリーランス。現在は京都を拠点に、レコーディングミキシングエンジニア、ライブPA、マスタリングと、柔軟かつ多角的にアーティストと関わる。

Keisuke Inoue

井上圭佑 / 撮影

1987生まれ。神戸出身。日本大学芸術学部写真学科卒。2011株式会社アマナ入社。2014フリーランス。

web

Rintaro Shimohama

下浜臨太郎 / 映像

身近にある素材に注目し、それを分解し再構築する手法で作品をつくる人。このプロジェクトでは、町工場に注目し、映像監督も兼任して制作に携わる。

web