塩化ビニールの黒い塊が、高熱のスタンパーで押し潰され音盤となる。アナログレコードのプレス工程から生まれる様々なノイズ音を、今や世界のアンダーグラウンドシーンを牽引する存在となったDJ NOBUが、極上のロー・インダストリアル・トラックに再構築した。制作過程で産み落とされた7インチシングルは、RECORD STORE DAYで完全限定発売。レーベル第8弾にしてはじめてのフィジカルリリースとなる。
専用のカッティングマシンを使い、音の情報を溝に刻み込んだ「ラッカー盤」を作成。ラッカー盤から「マスター」をつくり、マスターからプレスに実際に使う「スタンパー」をつくる。
プレスの力は7インチレコードでは約70トン、LPになると約100トンになる。表裏のレーベルでビニール素材を挟み込み、一度にプレスを行う。
東洋化成のレコードプレス機では、レコード中心部のレーベルもビニール素材と同時にプレスする。表面/裏面のレーベルがそれぞれプレス機の中心部に運ばれていく。
レコードの素材は塩化ビニール。もともとは半透明な素材にカーボンを混ぜ込むことで見慣れた黒い盤の素材になる。
プレス後の盤の外周には、素材がいびつに余っている。これを刃物でそぎ落とすことで、初めてきれいな丸いレコード盤が完成する。
レコードの溝の幅は100ミクロンもの極小の世界。顕微鏡で拡大しモニターで観察することでカッティングに異常がないかをチェックする。
1959年創業。東京都港区に本社営業部門、神奈川県横浜市に製造部門である末広工場を構える。レコード生産と印刷が主力事業。CDの普及とともにアナログ・レコードへの需要が後退した1980年代以降も、カッティングからプレス、各種商品パッケージの印刷まで、プロダクションの全てを一貫して自社で請け負っている。
DJ NOBUは一つのスタイルに踏みとどまらず、幅広い世界の音楽を引き出し、彼にしか作りえない唯一無二のサウンドスペースを現出させる、卓越した実力を持つDJである。NOBUのDJを知る人にとって彼はちょっとしたカルト・フィギュア(熱狂的人気の対象)であり、その二十年余りに渡る経験は、厚い信頼を得ているパーティーFuture Terrorや、主宰レーベルBitta、いくつかの音源やミックスなどとなってリリースされている。ここ数年にわたる活動の中で、ゆっくりと確実に、NOBUは「日本のシーンの中心的存在」から、「フレキシブルでありなおかつ進化を続ける、世界で最も有望なセレクター」というあらたなる評価を獲得するに至った。
1979年北海道網走市生まれ。1999年に世田谷ハートビートレコーディングスタジオでエンジニアとしてのキャリアをスタート。2009年にフリーランス。現在は京都を拠点に、レコーディングミキシングエンジニア、ライブPA、マスタリングと、柔軟かつ多角的にアーティストと関わる。
東京のビジュアルデザインスタジオTANGRAMに所属するディレクター、兼、映像作家。3DCGソフトとモーショングラフィックスを活用した映像作品「Night Stroll」、tofubeatsの「朝が来るまで終わる事のないダンスを」MVを撮影するなど、光を巧みに駆使した表現で何気ない日常の風景を一変させる世界観が特徴。